08/19/2008

風雲千早城(1210)

今日も農耕的に仕事をした。

・昨日、このブログに紹介した「崑央の女王」英訳版に関するダヴィデ・デ・マーナ氏による書評だが、自動翻訳ソフトを使ってイタリア語から英語に翻訳したものだったので、一部意味不明だった。

・先ほど、このブログを見たマーナ氏ご本人より、ご自身の書評(イタリア語)を英訳された文章が届いたので、以下に改めてご紹介する。

・Thank you,Mr.D.Mama!!

Back from K'n-Yan, by Davide Mana

Reading Queen of K'n-Yan, the latest English-language offering (thanks to Kurodahan Press) from Japanese writer Asamatsu Ken, is an unusual experience.
A pillar of lovecraftian fiction in the East, Asamatsu-sensei is not ashamed to be listed among the students of the Gentleman from Providence, and does so from the very title of his story.
And then, he takes the reader by surprise.
Repeatedly.
Like all the greatest authors in the Lovecraft circle - from Leiber to Campbell to Bloch - Asamatsu-san can write first class supernatural horror while not imitating the master.
It is relatively easy to write mock-lovecraftiana.
Finding a personal voice is quite another matter.

So, I read Asamatsu-sensei's novel.
I was expecting a slow-burn introduction, an induction of sorts, setting a quiet scene for the horror to shatter in due time.
It's a common technique, after all, widespread, almost a set-in-stone standard.
But not this time - the weird, the uncanny, erupts on page two of the narrative, interrupting a nostalgic song by Southern All Stars.
[and here, as a fan of SAS, get the creepy sensation that Asamatsu-sensei is writing this for me and for me alone - but my rational mind tells me this is just the author playing a magical trick on his readers]
From page two on, and for over two hundred pages solid, horror seeps into a solid science-fiction - because science often underlies Lovecraft's stories, and Asamatsu-san knows how to play the same game.
Earthquakes, genetic engineering, archeology, sick military interests... the well-heeled lovecraftian reader can try and guess what is happening, but he'll have a hard time figuring out why.
And the story, developing in concentric circles, on two, three different levels, will not fail to entangle and surprise the reader. Up to the properly nihilistic finale, in true Lovecraftian tradition.

Asamatsu-sensei knows well that lovecraftian fiction is not just about ideas, it is also about language and structure, and therefore he can re-animate old ideas with a language and style that are his own, and excellent.
A solid demonstration of the fact that how we write counts as much as what we write.
Bravo!

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08/18/2008

風雲千早城(1209)

今日も農耕的に仕事をした。

・朝の五時までパソコンの前で唸って原稿を書いてると時々、絶望的な気分に襲われる。そんなとき、遠くの友から励ましのメールが届くと嬉しさもひとしお、元気百倍になるというものだ。

・ひどく落ち込んでいる時に、イタリアはトリノ在住の親友マッシモ・スマレさんからメールが届いた。何かな、と思ってみたら、これはイタリアの幻想作家ダヴィデ・デ・マーナ氏のブログではないか。それも英訳してくれてて、内容は・・・『崑央の女王』英訳版の批評なのだhappy01

マーナさんは自分のブログに、「Queen of K’n-Yan」について書きましたね。英語訳は下記なのです(まあ、自動翻訳ソフトウェアだからちょっと間違いがありますが……ははは)。」

http://translate.google.it/translate?u=http%3A%2F%2Fstrategieevolutive.wordpress.com%2F2008%2F08%2F18%2Fritorno-ds-kn-yan%2F&hl=it&ie=UTF8&sl=it&tl=en

・マーナさん、スマレさん、ありがとう。イタリアの優しき友たちに深く感謝します。

・ちなみにスマレさんは、下記の日本の媒体でも文章を発表しています。

http://www.bk1.jp/product/03029748

・ちなみに、『崑央の女王』英語版、まだ原作者は手にしてません。

・だから、こんなブログを見つけても「?????」なのでしたcoldsweats01

http://williamsramblings.blogspot.com/2008/08/books-in-mail.html

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08/15/2008

風雲千早城(1208)

今日も農耕的に仕事をした。

【果たし合い現代はNO 郡山 決闘の少年逮捕】
 
「決闘の申し出を受けて応戦し相手にけがをさせたとして福島県郡山署は12日、決闘と傷害の疑いで郡山市の無職少年(16)を逮捕した。県警本部によると、本県での決闘容疑の適用は平成元年以降初めてとみられる。決闘罪は明治22年に制定され、違反者は2年以上5年以下の懲役刑などに科せられる。日本では古来から「果たし合い」の風習があったが、社会秩序の維持に悪影響があるとして同罪が設けられたという。ほとんど適用がなく「過去の遺物」とみられていたが、少年らによるけんかが決闘に該当する場合があるとして見直され、傷害や暴行罪の立件が困難なケースなどで適用されるようになった。今年に入り、宮城県警が仙台市の乱闘事件で同罪を適用し、少年十数人が摘発されている。」
http://www.minpo.jp/view.php?pageId=4107&mode=0&classId=&blockId=2205914&newsMode=article

★故稲見一良氏がハードボイルド作家の某氏に自作を盗作呼ばわりされたとき、
「お互いライフル一丁持って、どちらが正しいか、決闘で決めよう」
と決闘状を送ったというが、相手が大人で危ないことにならず、ハードボイルド・ファンは偉大な才能を二人も失わずに済んだ。もし決闘が実行されてたら、二人ともブタ箱入りだったし・・・。

★決闘罪ってモノが今も生きてて、適応されるとは知らなかった。今までは武士らしく最後は決闘でカタつけようかと思ってたが、今後は、どんなにムカついてもあーんなヤツやこーんなヤツに「決闘」を申し込むのはやめて、室町武士らしく黙って毒殺するか、騎士らしく陰謀を駆使して社会的に葬ってやろう。

★しかし、驚くべきは福島県警の対処より、宮城県警がすでに少年の乱闘に同罪を適応させていることである。宮城と言い福島といい、江戸時代の気風が残っているのかな。

★中学時代、隣町の中学とウチの中学が決闘したことがあった。場所は藻岩山の麓の神社の石段下。双方、木刀やメリケンを持って正々堂々と戦い、ウチの中学が負けた。副番長に敗因を尋ねたら、「鉄パイプをたくさんバイクに積んで後ろに用心棒を乗せた番長が、ふとバイクのエンジン音が悪いのが気になり、バイク屋に寄って修理してもらってたせいだ」という。つまり一番強いヤツと頼みの飛び道具を待つうちに戦争が始まり、戦争が終わるまで遂に頼みの援軍も物資も届かなかったのでボロ負けしたというのだ。この話、戦国モノに応用できそうに思って、とっといている。あ、ちなみに番長と用心棒はエンジンが直るまで近くの店でキャンデー食べてて戦争には参加しなかったのだが、後日、両校で乱闘事件が発覚したとき、「お前らが参加しなかったはずはない」という理由で、最初に裁かれた。

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08/08/2008

風雲千早城(1207)

今日も農耕的に仕事をした。

・考えてみたらデビューしてこっち、短編のプロットなどいうものを書いたことがなかった。お陰で全然プロットが切れず、六日も呻吟したがまだ書けない。とうとう意を決してPHP文庫のO係長に、
「プロット書くより短編書いたほうが早いので、短編書かせてください。それ読んでもらって、面白くなかったら書き直します」
と電話した。
「あ、いいですよ」
と了承されたので、昨夜遅くから書き始めた。

・今回の舞台は元禄、つまりは江戸時代初期だ。江戸物は『妖臣蔵』以来なので、書けるかな、と心配してたが、まずは10枚書けた。今夜は昨夜の原稿を推敲しながら先に進む予定なり。

・で、今朝、床についてるうちに、幻冬舎コミックスより『STOP!! ダークネス!』のカバー色校正が送られてきた。

・銀色をベースに、川添和佐先生描くキャラたちが弾んでいる。ハーレム・スタイルがミンタStopdarkness_front カ、ゴスロリ少女がアルニラム、和風美人がアルニタク。ミンタカは気のいい怪力美人。アルニラムは血に餓えた悪魔っ子。アルニタクはおとなの色気を振りまきながら京都弁を使う。どれも私の好きな女性のタイプなのであった。

・内容は『私闘学園』のタッチで、『マジカル・ハイスクール』『幻獣戦記』やってると思ってくれれば一番近い。まあ、深遠なテーマとか、人生とか、宇宙とか、そういうものとは最も縁遠い作品である。ヘンな世界観と、トンチンカンな会話と、三人の女悪魔に翻弄される博物学者の姿と、一見インチキに見えて実はしっかり考証しながら実はインチキな魔法世界を楽しんでもらいたい。

『STOP!! ダークネス!』は幻狼ファンタジア・ノベルス(幻冬舎コミックス)より、900円+税で、八月末(都内は25日くらい、地方は28日~31日)に、堂々発売。銀色の紙に印刷された表紙がメジルシですっ。

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08/05/2008

風雲千早城(1206)

今日も農耕的に仕事をした。

・暑い。

・…と、こう書いて日記をやめたくなるくらい暑い。おまけに蒸す。

・豊島区は朝から凄まじい雷雨だった。まるでバラードのSF世界みたいに、神の怒りのような稲光と落雷、終末的にさえ思われる豪雨が降り注いだ。

・今朝まで仕事しててプロットが進まなくてアグアグやって、とりあえず寝たのに、昼前に落雷の音で飛び起きた。

・雨と雷が大人しくなった頃に、病院の定期診断に行く。病院のテレビで、雑司が谷で下水工事していた作業員が急激に増えた下水の水に流されたと知る。一人は三キロ先の神田川で発見されたとのこと。まるでレニー・ハーリンの『ロングキス・グッナイト』みたいだ。

・病院では最初に血液検査・尿検査。血液は問題なかったが、尿が出ない。本当に出ない。仕方ないので自動販売機に飛んでいってアイス・コーヒーを二杯も飲み、さらに冷水機の水を一リットルくらい飲んだが、最小既定の10ccにも満たなかった。

・「前立腺肥大かなあ」と主治医は漢方を処方してくれかけたが、私の説明をより詳しく聞いて、「それは脱水だよ。もっとたくさん水を飲まなきゃダメだなあ」と諭された。そうか、ここ一週間ほど尿の出が悪いので、とうとう私も友人・先輩諸氏と同じように前立腺炎・前立腺肥大になったかと思ったのだが、単なる脱水とは。……もっといっぱい水を採らないと脳梗塞になってしまうな。

・薬の血中濃度は6.8と悪くない。発作の兆候もなし。

・よし、今夜中にプロットを切って、明日から冷たい麦茶を傍らにおいてバリバリ仕事しよう。

・今朝寝ようとする直前、アメリカ在住の翻訳家キャサリン・タジさんからメールが来た。タジさんは拙作『崑央の女王』を英訳してくださった女性である。原作者に一言お礼を、と丁寧な日本語の手紙を下さった。こういう礼儀も日本では段々すたれていくね。そのうち、「畳の境界をまたいで坐ってはいけません」とアメリカ人に叱られるようになるのに違いない。

・幻冬舎コミックスの編集長より電話。『STOP!! ダークネス!』の色付きカバーは明日、出てくるとの事。どんな素晴らしい絵になってるか、楽しみだなあ♪

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08/03/2008

風雲千早城(1205)

今日も農耕的に仕事をした。

・新作を書く前に向こうの注文を入れたプロットを出してくれないかと言われ、気安く引き受けたのだが、実は私はプロットを切るのが嫌いである。なぜ嫌いかというと絶対にこっちが想定した粗筋に作品は進まないからだ。それに頭の中に溢れているこの物語を僅かな字数で編集に伝えることなんかできるものか。で、もう三日もプロットの書き直しに呻吟している。

・とうとう頭に来て、映画を見ることに決めた。

・で、見はじめたのは例によって古い映画三本である。

『郵便配達は二度ベルを鳴らす』(1946) テイ・ガーネット監督/ジョン・ガーフィールド/ラナ・ターナー主演。日本では劇場公開されなかった。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%83%B5%E4%BE%BF%E9%85%8D%E9%81%94%E3%81%AF%E4%BA%8C%E5%BA%A6%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%92%E9%B3%B4%E3%82%89%E3%81%99

『陽のあたる場所』(1951)ジョージ・スティーヴンス監督/モンゴメリー・クリフト/エリザベス・テーラー主演。
http://homepage2.nifty.com/e-tedukuri/A%20PLACA.htm

『深夜の告白』(1944)ビリー・ワイルダー監督/フレッド・マクマレイ/バーバラ・スタンウィック/エドワード・G・ロビンソン
http://www.geocities.co.jp/Hollywood/5710/double-indemnity.html

『郵便配達は~』は1942年にヴィスコンティが処女作として発表、ただ原作者の許可を取っていなかったため長らく「幻の処女作」とされた。
こちらの1946年版はヴィスコンティ版よりも遥かに長く、複雑なストーリーになっているが、その分、いらぬ脂肪がつきすぎた感が否めない。
早い話が流れ者が流れ着いた先のドライブインの女房に入れ込んで年取ってお人よしの亭主を殺そうとする物語。こんな気のない書き方をするのはラナ・ターナーが田舎の(ロサンゼルスから車で半日くらいか)ドライブインの女将に見えないのだ。
プラチナ・ブロンドで真っ白い衣装に真っ白い靴のラナでは、フィリップ・マーロウを誘惑するセレブな美女には見えても、たかが数千ドルのために老亭主を殺そうとする女には到底見えない。
ガーフィールドの流れ者がそれらしすぎただけに、本当に「あ~あ」と思い、かえって「ラナ・ターナーはオブシーンなブルーフィルムの女優から成り上がり、ギャングの用心棒だったジョニー・ストンパナート──オスカー像そっくりの男根の持ち主で知られていた──を愛人にして、ジョニーがラナにDVを繰り返したのみならず、ラナの娘のシェリルにも手を出してシェリルに刺殺された」というラナ自身の人生を映画で見たいと思ってしまう。
(ラナのこの事件をモデルにした作品に新刑事コロンボの一エピソードがあった。ラナ役をフェイ・ダナウェイが演じて最後まで唸らされっぱなしだった)

『陽のあたる場所』は実際の殺人事件をモデルにした文豪シオドア・ドライサーの『アメリカの悲劇』を原作に、セレブ社会に憧れた貧しい青年が自分の子を宿した娘を殺害し、セレブの娘と結婚しようとする悲しい物語。
こう書くと、アイラ・レヴィンの『死の接吻』や南北の『東海道四谷怪談』を連想するが、この映画の主人公はそれらの主人公ほどドライではない。
やはり純文学が原作なので、自分の子を妊娠した娘が湖に落ちた(落としたのではない)とき、どうして自分は助けなかったのか、という点に絞られる。…が見終わったときに残るのは、エリザベス・テーラーのあっけらかんとしたセレブ娘のバカさ・能天気さ。
セレブな娘が入れあげた青年をそそのかし彼の子を孕んだ哀れな娘を殺させる…としたほうがブンガクではないかと思うのだが、これは伝奇作家の偏見か。

『深夜の告白』は大傑作!! 
保険の敏腕外交員が深夜、同僚の保険調査員に告白する…というフレームの中で描かれる物語。
自動車保険の更新のために訪れた邸宅であった若く美しい夫人。その夫は彼女を愛してはおらず、生命保険の受取人も前妻の娘にしているという。
夫人の美しさと全身から漂う媚態に魅惑され、外交員は夫を殺害し、倍額保険十万ドルを受け取る計画に加担する。ところが行く先々で同僚の調査員や娘に邪魔される。
それでも夫が出張のために乗った汽車から転落(当時の汽車には観覧席があった!?)したように偽装した。
完全犯罪は成功に思われる。
だが、前妻の娘が外交員に接近、意外な事実を告げる。前妻を殺したのは義母だというのだ。さらに保険調査員の同僚は、今回の事件が偽装殺人で、主犯は妻、共犯は娘のボーイフレンド、二人は関係していたと推理してみせる。
何が本当なのか。自分はあの女に利用されたのか。惑乱した外交員は女の待つ邸宅に向かったが……。
映画の神様ビリー・ワイルダーと、ハードボイルドの神様レイモンド・チャンドラーの共同脚本。
二転三転する物語はまったく先が読めず、全編を貫くサスペンスはピアノ線の網のようだ。
さらに会話は極めて暗示的かつ警句に満ちており最上質のチャンドラー作品を想起させる。主人公の最後のカタのつけ方はハードボイルドそのものだし、エドワード・G・ロビンソン演ずる保険調査員のキャラも素晴らしい。
ウッディ・アレンが「最高の映画」と絶賛したのもうなずける。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B7%B1%E5%A4%9C%E3%81%AE%E5%91%8A%E7%99%BD

『深夜の告白』、もし今夜時間があり、暇つぶしになる映画をお探しでしたら真っ先にお勧めします。お近くのレンタル・ビデオ屋でお借りなさい。人生の二時間を得したと思いますよ♪

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08/02/2008

風雲千早城(1204)

今日も農耕的に仕事をした。

ここ三ヶ月か四ヶ月くらいギャング映画に凝っている。最初はハンフリー・ボガートの映画のついでだったのだが、ポール・ムニの『暗黒街の顔役』http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9A%97%E9%BB%92%E8%A1%97%E3%81%AE%E9%A1%94%E5%BD%B9を見て、ギャング映画にハマってしまった。レオーネの遺作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』を見直し、『暗黒街の顔役』のリメイク、アル・パチーノの『スカーフェイス』を見、エドワード・G・ロビンソンの『犯罪王リコ』、ジェームズ・キャグニーの『民衆の敵』『汚れた顔の天使』『彼奴は顔役だ』を再鑑賞して涙ぐんだ。特に『彼奴は顔役だ』はアル・ウィーラーさんも『実録安藤組』と重なる面白さ・社会性を認めてくれた。わたしはこの映画は東映ヤクザ映画の原型ではないかと思っている。で、『アンタッチャブル』を買い、さらに中古DVD屋に行ったら、ハーレムのゴッド・ファーザー、バンピー・ジョンソンの半生を描いた『奴らに深き眠りを』を安売りしていた。とびついたネ。で、見た。最初は、「ウーン、70点くらいの作品かな」と思ったし、ネットの感想もそんなものだった。でも、昨夜、再度鑑賞して、ちょっと唸ったね。こいつは、ひょっとして、ギャング映画の傑作じゃないだろうか。そう思い直したんだ。なぜか。それは、マカロニ・ウェスタンに通じるキャラクター造形にある。主人公のバンピーはシンシン刑務所を出て、ナンバーズ賭博を仕切る黒人の組織に入り、クィーンと呼ばれる女ボスの右腕に、クィーンが逮捕されたら組織のトップになり、ハーレム侵攻を企むダッチ・シュルツと全面戦争になだれこむ。このキャラは大して魅力的じゃない。ある時は人情豊かなくせに、ある時は非情、どうも一定していない。しかし、眼を瞠ったのは、まず悪役ダッチ・シュルツをやったティム・ロスだ。『海の上のピアニスト』とは似ても似つかぬ、下品で下劣で暴力の権化のような、それでいて男臭くて、人間臭い、ちょっと見事なキャラクターだった。さらにニューヨークの顔役ラッキー・ルチアーノをやったアンディ・ガルシアもよかった。片目をいつも半開きにして、神経質そうで、ビジネスマン気取りの似非紳士なヤクザ。確か小栗虫太郎の『人外魔境』シリーズにもルチアーノは特別出演し、折竹孫七に「やつがれがルチアーノにござんす。お見知りおきを」と大前田の助五郎みたいなシキテンを切っていた。それはともかく、この作品では、他にバンピーの仲間の黒人ギャングたちの造形が見事だった。特に私は、喉に切られた痕のある中年ギャング、ウィスパーが気に入った。彼は声が囁きくらいしか出ないのでそう呼ばれているのだが、ひとたび事があると銀色に磨いたコルト・ガバーメントを二丁持ち、見事に敵を殺していく。また裏切り者の処刑には床屋の剃刀で喉を掻ききるのだ。全体のスタイリッシュな作りはフランス製のギャング映画を連想させた。それで、私がこの映画に惚れたのは、ダッチ・シュルツの死ぬシーンなのだ。右腕のギャングとビールを飲み、「ちょっとションベン」と便所に行く。小便するためにコルトを抜いて便器の上に置き、用を足す。終わったところで右腕が来てダッチを撃つ。ダッチはコルトを取り落とす。コルトは汚れた便器に落ちる。腹に三発か四発撃たれたダッチは何気ない顔で席に戻り、いやぁぁな顔で手下に振り返り、暗い笑いを投げかける。怖くなった手下が逃げさると、ダッチは両手をテーブルに置いて、顔から突っ伏す。……私はこのシーンで痺れてしまった。(←ヘンなシーンに痺れるヤツ)

もし貴方が暇で、近くにレンタル・ビデオ屋があり、時間つぶしに何か見たいなと思ってるのなら、お勧めします。

『奴らに深き眠りを』
http://www.tsutaya.co.jp/item/movie/view_v.zhtml?pdid=10015446

イタリア版の予告編。迫力があります。
http://jp.youtube.com/watch?v=uVk_p5i3BxQ

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08/01/2008

風雲千早城(1203)

今日も農耕的に仕事をした。

・昨夜は遅くから今朝の9時過ぎまで仕事。お陰で21枚書けて、仕上がった分を版元に送信した。近頃とても調子がいい。一日に少ないときでも10枚、多いときには60枚も書いている。ひょっとしたら私は男性更年期障害を克服できたのかもしれない。

・この調子で頑張り続ければ、おそらく今年の10月くらいから成果が見えてくるだろう。

・しかし好事魔多し、本の埃によるアレルギーはどんどん酷くなる。今日も昨夜引っ張り出してきた山口の史料の埃にやられたか、鼻水が止まらない。とりあえず小清竜湯でやり過ごそう。

・今日から新しい仕事に入る。今日・明日はプロットの書き直し。四本くらいの書き下ろし短編で一冊にしようという試みである。内容は、時代小説+怪奇+???。参考になるかと浅井了意の本とか読み返している。

・頭休めのためにはDVD。

『深夜の告白』(1944)

・『郵便配達は二度ベルを鳴らす』(1946) ラナ・ターナー主演版

・いずれもジェームズ・M・ケインの原作。

・今日はとても涼しくて気持ちがいい。電気代が上がったせいか、ガソリン代が上がって山手通りの車が減ったせいか、何もつけなくとも涼しくて、外に出ても避暑地にいるようだ。これで道路を全部土にすると、さぞかし東京も涼しくなるだろうにな。

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07/28/2008

風雲千早城(1202)

毎度バカバカしい親馬鹿な告知でございます。

日本テレビ系の深夜ドラマ『The Quiz Show』
──NTV日本テレビ・ SDT静岡第一テレビ 土曜深夜0:55-1:25
NIB長崎国際テレビ毎週金曜深夜0:25-0:55 7/18より放映
──
8月2日(土曜日)放映分にウチの二女が出演します

銀座のホステスの役で、サトエリのすぐ近くにいるそうです。 P1050005

Asami0001 お目汚しとは存じますが、
もしお時間がありましたら、見てやってください。
なにとぞ、よろしくお願いいたしますm(__)m。


当日は定例会の日ですので録画されるか、後でネット配信でご覧になると宜しいかと思います。


★The Quiz Show 公式サイト
http://www.ntv.co.jp/quizshow/

★The Quiz Show
お知らせ・配信・ご案内

http://www.ntv.co.jp/quizshow/movie.html

以上、お知らせでございました。

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風雲千早城(1201)

今日も農耕的に仕事をした。

【あらすじ】『スト・ダク』のゲラをやっつけて、燃え上がった男の怒りを納めようにも、酒は呑めず、アッチもコッチも相手に当ての無い“わたし”は、やむなく家族の寝静まった家で一人、古いフィルム・ノワールを見始めたのだった。


・ティム・バートンの『エド・ウッド』(94年)のなかで、ジョニー・デップ演ずるエド・ウッドがスポンサーの口出しで思うように映画が作れず、「チクショウ」と女装でヤケ酒を飲みに行くと、カウンターに坐った巨漢がエドに同感してくれるシーンがある。実はこの巨漢こそ映画界の巨人オーソン・ウェルズで、「口出しする奴らが私に何を言ったと思う。チャールトン・ヘストンを使えだとさ」とウェルズは忌々しげに呟いてウィスキーを痛飲するのだが、ティム・バートンの頭のなかでは、このときのウェルズは『黒い罠』を作っていた、という設定らしい。

・で、今回、怒りにまかせて鑑賞したのは、その『黒い罠』(1958)である。


[あらすじ]

アメリカ=メキシコ国境で起こった富豪爆殺事件。偶然、新妻スージー(ジャネット・リー)とともに事件に居合わせたメキシコ政府の麻薬捜査官バルガス(チャールトン・ヘストン)は、事件を追ううちに、アメリカ側管轄署の刑事クィンラン(オーソン・ウェルズ)の強引かつ暴力的な捜査方法に反感をもつ。クィンランは富豪の娘と駆け落ちしようとしていたメキシコ人靴屋の仕業と決めつけ、靴屋と娘が隠れていたモーテルの便所から二本のダイナマイトを見つける。だが、クィンランが見つける前にバルガスは便所に何もないことを確認していた。だが、靴屋は警察に連れて行かれ、アメリカの警察関係者は「一件落着」と収めようとした。アメリカ側警察関係者に漂う黒い気配に、バルガスはクィンランが過去に解決した事件のファイルを洗い始めた。だが、一方、モーテルに残したスージーに、メキシコの暗黒街のボスの魔手が迫りつつあった。黒い陰謀にはめられて、麻薬中毒者に仕立て上げられていくスージー、アメリカ警察から執拗に「これ以上嗅ぎまわるな」と圧力をかけられるバルガス。果たして二人は陰謀の魔手から逃れ、無実を晴らせるのか。また富豪爆殺事件の真犯人は。クィンランの黒い素顔とは!?

002 ・まず、オーソン・ウェルズ扮するバイオレンス刑事クィンランのキャラクターがいい。肉に埋まった目鼻、いつも何かくわえていたそうなだらしない唇。太いステッキ(凶器になりそうな代物だ)をついている。

・それから、このクィンランの古い馴染みらしい、タロット占い師もやる酒場の女将。存在感のある中年美人だな、と溜息ついたら、当たり前だ。マレーネ・ディートリッヒだった。

・あと、ジャネット・リーの新妻も、メキシコ人と結婚したヤンキー娘という感じで、気丈でよかった。そうそうメキシコ人の不良青年を平気で「ポンチョ」と呼ぶ無神経さもヤンキー娘っぽい。

・チャールトン・ヘストンは・・・・アメリカ警察の圧力と戦いながら孤独な戦いを進めるメキ003 シコ人捜査官って・・・・似合わねー。いくら吹き替えのスペイン語を喋っても、メキシコ人には見えなかった。全然見えないのなら、もう、バート・ランカスターに口髭つけさせてメキシコ人だかんな。と強弁してほしかった。


★ところで、この作品はウェルズが大変な力を入れて作った映画なのだが、製作側はチャールトン・ヘストンの起用以外にも色々と横槍を入れてきたらしい。特に酷いのは完成後、ウェルズの意図と合わないシーンを撮り足して再編集したことである。これに関してウェルズは製作側に自分の意図を汲み、自分に編集させてくれるよう懇願していた。今回のDVDは残されたフィルムを、ウェルズの脚本をもとに再編集(再々編集か)して、可能な限り原型(ウェルズの意図に沿ったバージョン)に近づけたものである。

★そのため、ラストの検察官のセリフに納得いかないところもあるが、メキシコ人の不良に取り囲まれるシーンの怖さ、他に客のいないモーテルの不気味さ、そして石油採取所でのクライマックスと謎解き(?)など非常に印象的だった。


★ふと思ったが『夜の大捜査線』のギレスピー署長(ロッド・スタイガー)はクィンラン刑事の遠い親戚だし、この国境の町は『L.A.コンフィデンシャル』のあの黒き街へと続いているのだろう。

・いずれにせよ、なかなか見ごたえのある作品だった。

・フィルム・ノワールの名作が近頃、続々とDVD化されてて嬉しいね。次は『成功の甘き香り』を仕入れたい。


【データ】
http://www.walkerplus.com/movie/kinejun/index.cgi?ctl=each&id=2702

http://www.google.co.jp/imgres?imgurl=http://infolab.stanford.edu/~prasanna/dmc/mexico/touchofevil.jpg&imgrefurl=http://infolab.stanford.edu/~prasanna/dmc/mexico.html&h=510&w=325&sz=53&tbnid=eGvaxTL8OJsJ::&tbnh=131&tbnw=83&prev=/images%3Fq%3Dtouch%2Bof%2Bevil&hl=ja&sa=X&oi=image_result&resnum=1&ct=image&cd=1

http://www.geocities.co.jp/Hollywood/5710/lady-shanghai.html

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