風雲千早城(1229)
今日も農耕的に仕事をした。
・作品は膠着状態に入った。逃げる家康が以気合気で(助けてくれたら下忍でも旗本に取り立てる)と悲鳴をあげると、次の瞬間、三方ケ原の影でギャラリーを決め込んでいた忍者たちが一斉に、家康を追撃していた真田昌幸に襲い掛かる、というシーンなのだが、どうもアクションが気に入らない。書いては削除している。
・やむなく解説依頼の来たブラックウッド短編集のゲラを読んだり、クトゥルー全書のゲラを眺めたり。
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ちと思うところあって資料映像にあたる。
「ミラーズ・クロッシング」(1990年アメリカ映画)
・1990年に作られたこの大傑作を今まで知らなかったのか、とホラー映画バカな自分を心から悔やんだ。ギャング映画としてもハードボイルドとしても群を抜いた傑作だった。
・タイトルの「ミラーの十字路」とは主人公トム(ガブリエル・バーン)が「裏切り者」でないことを証明するために、関係した女の弟を殺しに行く“森の中の場所”の名前である。
・主人公はアイルランド系ギャングのボスの右腕。口数の少ない、ちょっと陰のある男だ。競馬が好きなのだが全然当たらず、ノミ屋に借りを貯めすぎて追われている。なんとなくダシール・ハメットの「ガラスの鍵」を連想させるキャラクターである。
・ある日、ボスが、自分の情婦が浮気していないか調べさせるために放った手下ラグが殺された。それを調べるうちにトムは絡み合った愛憎とギャング組織の抗争劇に巻き込まれていく。
・裏切ったと見せて、敵の懐に入り、敵に探りを入れるだけでなく、わざと自分と、ボスの女が関係あることを洩らし、ボスから離れて、さらに敵の懐深く飛び込んで、敵の自滅を促す。わおっ、まるで白凰坊みたいな手じゃないか。
・全体に流れる「ダニー・ボーイ」の歌と曲に合わせて血で血を洗う抗争が繰り広げられ、裏切りが裏切りを呼び、策略が策略を呼ぶ。
・いやあ、先の読めない展開と、一種荘厳ささえ感じる様式美に痺れました。芦川淳一さん、稲葉稔さん、樋口明雄さん、gymnemaさん、松村さん、その他、「男の映画」の好きな方のご意見を聞きたいです。1990年に製作されて日本公開は1991年か。病気前、身体も精神も調子の良かった時期だなあ。この頃に見ていたら、絶対、ソノラマの石井さんに白凰坊の新シリーズを売り込んでいただろうな。
・それにしても、ソフト帽に厚地のコート着こんだガブリエル・バーンがカッコよかったなあ。帽子の庇(ひさし)の下から鋭い眼を輝かせて、人を殺すために森を歩く。このシーンがたまらなく美しく、クールで素晴らしかった。敵にも味方にも殴られ、蹴られ、殺されかけ、策謀がバレそうになると嘔吐して、それでも男の意地を貫いて、最後の最後に命乞いする悪党に、「ハートはない」と冷たく言い放ってピストルの引き金を絞る。ハードでビター。甘さなんかヒト欠けもない。まあ、これ、小説でやっても共鳴してくれるのは一定年齢以上(最近はハードボイルドというだけで本読む人間は引くのだと。砂糖菓子時代かよ。ああ、やだやだ)しか受けないだろうな。映画だから、ここまでビターに出来るのだろう。
・よし、この冬は髪を短くしてソフト帽を被り、クローゼットにしまってる厚地のコート着て歩くことにしよう。そして編集に「出来ましたか」と言われたら、「ハートはとっくに捨てた」とウソぶいて逃げることにしよう♪
【データ】
「ミラーズ・クロッシング」
[原題]Miller's Crossing
[製作国]アメリカ
[製作年]1990
[配給]20世紀フォックス配給
スタッフ
監督: Joel Coen ジョエル・コーエン
製作: Ethan Coen イーサン・コーエン
製作総指揮: Ben Barenholtz ベン・バレンホルツ
Ted & Jim Pedas テッド&ジム・ペダス
脚本: Joel Coen ジョエル・コーエン
Ethan Coen イーサン・コーエン
撮影: Barry Sonnenfeld バリー・ソネンフェルド
音楽: Carter Burwell カーター・バーウェル
編集: Michael Miller マイケル・ミラー
字幕: 戸田奈津子 トダナツコ
キャスト(役名)
Gabriel Byrne ガブリエル・バーン (Tom_Reagan)
Marcia Gay Harden マーシャ・ゲイ・ハーデン (Verna)
John Turturro ジョン・タトゥーロ (Bernie_Bernbaum)
Jon Polito ジョン・ポリト (Johnny_Caspar)
J. E. Freeman J・E・フリーマン (Eddie_Dane)
Albert Finney アルバート・フィニー (Leo)
解説
1920年代のアメリカ東部のある都市における、アイルランド系とイタリア系ギャングの抗争を斬新な映像で描く。エグゼクティヴ・プロデューサーはベン・バレンホルツ、製作はイーサン・コーエン、監督は「赤ちゃん泥棒」のジョエル・コーエン。脚本はジョエル&イーサン・コーエンの兄弟が共同で担当、撮影はバリー・ソネンフェルド、音楽はカーター・バーウェル。出演はガブリエル・バーン、アルバート・フィニーほか。
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