風雲千早城(1447)
今日も農耕的に仕事をした。
・一部でワタシが「赤松健と自分を間違えた奴、殺す」と言ったことになってるらしい。ワタシの名前を「やあ、赤松さん」と、角川春樹さんが言い間違えたことに関連して、「[らぶひな]かい
」
と思わず言ったことはあるが「殺す」などという不穏当な表現はしたことがない。そもそも×××にも××××にも××××にも「殺す」とさえ口にしたことが
ない温和なワタシである。げにもインターネットは伝聞側聞都合のいいような聞き間違え曲解誤解悪意の理解ためにする空耳の横行する世界である。ずっと前に
は「朝松健は脳腫瘍で脳の三分の一を切除した」という記述を目にしたことがある。脳腫瘍じゃなくて脳膿瘍(インフルエンザ桿菌による急性脳炎)、切除じゃ
なくて切開、脳じゃなくって炎症で膿んだ右脳上皮部の一部(1ミリに満たず)、切除したのは右の頭蓋骨の一部。そもそも脳を三分の一も切除したら、池袋に
散歩に行ったり美人熟女はええなあとか言ってません。寝たきりかとっくに死んでます。大体、会ったこともない赤松さんと自分を間違えたくらいで、どうし
て、私が相手を傷つけたり殺さなくてはならないのか。もう、自分たちの都合のいいイメージで好きなことをネットに書くのは止めてもらいたい。
・人間は愚かな生き物である。だからイメージでしか語れない。昔、自称読書家が「お前の書く作品もよくある伝奇小説か」と言ったことがある。すか さず私は訊き返した。「“よくある伝奇小説”ってどんな小説だ。具体的な作家は誰なの。具体的な作品は何?」相手はこっちがそんなことを言うと思わなかっ たらしい。少したじろいで言った。「夢枕獏とか菊地秀行とか」「獏さんの作品には一作たりとも“よくある伝奇小説”なんかないし、菊地さんの作品にも“よ くある”なんて呼ばれるようなステロタイプものなんかない。お前は単に、裸の姉ちゃんに化け物が絡みついてマッチョな奴が化け物を倒すのがよくある伝奇小説だと思って、イメージだけで語っ てるだろう。そんな小説は、ない。どれも工夫があり、閃きがあり、輝きがある。それがなくては獏さんも菊地さんもミリオンセラー作家にはなれな い。・・・・そもそも南里征典さんが伝奇ブームに乗って書いたバイオレンス小説にも工夫があり、魔術や格闘技や怪奇幻想を真剣に研究した痕があるんだ。 昔、ある雑誌の編集長が菊地さんの作品を“身すぎ世すぎで書いてる”と評したとき、速攻で、読書雑誌に小林信彦先生が『身すぎ世すぎで書け たら天才だ』と怒った調子で書いておられた。学生サークルの飲み会ならいざ知らず、それで飯を食ってるプロ作家に向かって【よくある】だの【身すぎ世す ぎ】だのといった言葉を使う無神経な奴を俺は信じない。そんな奴は友達とは思わない」かなりキツい言い方をしてしまったので、相手には嫌われた。恐らく、 「赤松健と間違えた奴は殺すと朝松健が言っていた」とか無責任に書いてるような奴は、「朝松健はニャル子さんに激怒している」とか、「朝松健は勝手に召喚 という言葉を使う人間を殺したがっている」とか無責任に書いてる奴らと同じ頭の構造をしているのに違いない。
・ミステリは「探偵とか犯人とか出てくる人殺しの小説」、SFは「宇宙人とかレイガンとかロボットの出てくる小説」、時代小説は「チョンマゲと深 川と人情とチャンバラの小説」、ファンタジーは「王子様とかお姫様とか魔法使いが出てくる小説」、純文学は「セックスとかリストカットとか自分の恥や傷口 を難しく書き連ねた小説」、エトセトラ、エトセトラ、エトセトラ・・・
バカヤロウ、浅薄なイメージしか持ちえないクソッタレの脳タリンのくせして知ったようなツラして語ってるんじゃねえ。
・驚くべきことがある。それは本が好きな人間ほど、こうした「イメージ映像」に囚われやすく、自分の好きなジャンル以外の作品を、それこそ「よく ある伝奇」「よくあるSF」「よくあるミステリ」「よくある時代小説」「よくあるファンタジー」「よくある純文学」という把握の仕方をしていることだ。そ して、そんな奴に限って、人に本の話題を振りたがり、自分ほど沢山本を読み、多岐にわたるジャンルに通じた者はいないと信じているのだ。
・そんな奴と話す機会があったら言ってやるがいい。
「あんた、よくある活字オタクのシッタカ小僧だったのか
。ナーンダ
」
・22日は午前8時に寝て、午後2時半に起床。短編はそこそこ進んだ。
・曇天のもと、池袋へ用足しに行く。用件を終えて帰宅。なんとなく土曜か日曜日のような雰囲気。
・帰って来てから、散歩。細かい雨。寒い。
・帰宅後、全神経を集中させて、エンターブレインの『弧の増殖』のゲラに取り掛かる。
・3時間ほどでゲラのチェックは完了。ちなみに諸般の事情から『弧の増殖』の発売は来年1月になった。
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